TechSoup(テックスープ)を活用しよう

非営利法人の日々の活動に欠かせないものの1つとして、ITツールがあります。ITツールとは、業務の効率化を目的としたソフトウェアやクラウドサービスなどです。日々の連絡や書類作成を始め、さまざまな業務の効率化を実現できますが、高額なものや毎月コストが発生するものも多く、予算の限られる非営利法人でITツールを揃えるのは簡単ではありません。

そこで、非営利法人のITに関するサービスやサポートを行っているTechSoup(テックスープ)について紹介します。

TechSoup(テックスープ)とは?

TechSoup は、NPO法人など非営利法人向けに、さまざまなIT製品やサービスを低価格で提供するグローバルな非営利団体向けプログラムです。MicrosoftやAdobeなど世界中のIT企業が集まり、非営利活動を支援するために作られました。

各企業が予め非営利活動に対する社会貢献の方針と寄贈基準・割引率等を設定し、TechSoupは申請のあった団体の非営利性を定められた基準に照らし合わせて確認をしたうえで、寄贈申請を受け付けたり、割引を適応するためのクーポンを仲介したりします。

これによって、資格を満たした非営利法人は、無償もしくは製品参考小売価格の2~9割引きの社会貢献価格で、ソフトウェアやクラウドサービスなどを利用できます。
日本のプログラムは、テックスープ・ジャパンとして、NPO法人日本NPOセンターが運営・管理しています。
https://www.jnpoc.ne.jp/techsoup

TechSoupによって割引が受けられる主なサービス

TechSoupを通じて社会貢献価格で提供される製品やサービスの一部を紹介します。なお、提供される製品・サービスや割引率、手数料は予告なく変更されることがありますので、ご了承ください。

1)Zoom(割引:50%・税別手数料:2,720‎円、年契約) ※注1

リモート会議に不可欠ともいえるZoomは、TechSoupに申請をすることで有料版が正規価格の半額(+手数料)で利用可能となります。無料でも十分に使えるものですが、有料版にすることで40分という時間制限を無くし、録画のクラウドへの保存や共同ホストの設定等の機能を利用することができます。団体の活動内容によってはオンライン配信イベントにも重宝すると思います。

※1 製品名、割引率、手数料等は2024年11月現在の情報です。詳細はテックスープ・ジャパン該当ページを参照ください。(URLは変更されている場合があります。) https://www.techsoupjapan.org/node/3522

2)Adobe Creative Cloud(割引:49%・税別手数料:755円、年契約の月払いのみ割引対象) ※注2

イラストの作成や写真の加工、動画の編集など、あらゆるものをデザインするソフトを一括導入できるサービスです。最近AIによる画像生成等の機能も加わりました。定価では個人向け年額8万円近くしますが、非営利法人では約半額で利用することができます。一定の予算があり、ソフトを扱える人材がいる団体は非常に重宝すると思います。

※2 製品名、割引率、手数料等は2024年11月現在の情報です。詳細はテックスープ・ジャパン該当ページを参照ください。(URLは変更されている場合があります。)https://www.techsoupjapan.org/node/5399

3)Norton 360 Premium(税別手数料:2,569円、1年版) ※注3

パソコンのセキュリティソフトとして世界NO.1のシェアを誇るNorton(ノートン)を非営利法人は手数料のみで利用することができます。行政への資料提出の際にウイルスチェックを求められる場合もありますので、団体で使うパソコンにはぜひインストールをしておきたいものです。

※3 製品名、手数料等は2024年11月現在の情報です。詳細はテックスープ・ジャパン該当ページを参照ください。(URLは変更されている場合があります。) https://www.techsoupjapan.org/node/8409

4)会計王NPO法人スタイル(税別手数料:36,000円) ※注4

NPO法人で1番多く使われている会計ソフトが「会計王」のNPO法人スタイルという製品です。こちらは買い切りのソフトになり、定価44,000円(税込)のものが36,000円で購入できるようになります。支払いはテックスープに手数料として36,000円を支払います。

※4 製品名、手数料等は2024年11月現在の情報です。詳細はテックスープ・ジャパン該当ページを参照ください。(URLは変更されている場合があります。)https://www.techsoupjapan.org/content/会計王npo法人スタイル(pcソフト)

5)DELL(5~10%割引・税別手数料:0円) ※注5

ハードウェアとして、DELL社のパソコンやその周辺機器の割引が受けられます。

※5 製品名、割引率等は2024年11月現在の情報です。詳細はテックスープ・ジャパン該当ページを参照ください。(URLは変更されている場合があります。) https://www.techsoupjapan.org/node/8407

 6)その他

上記以外にも様々なITツールのラインナップがあります。たとえば、Slack(コミュニケーション・情報共有)や、Box(オンラインストレージ)も、TechSoupを通じて活用できます。なかにはAWS(Amazonによるクラウドサービス)や、Tableau(データを視覚的に表現するツール)等、やや専門的なものもあります。

技術力のあるスタッフや、プロボノ等が望める場合は活用を検討してみてはいかがでしょうか。

TechSoupの利用方法

次に、TechSoupの利用方法を説明します。おおまかな流れは、以下のとおりです。

①TechSoupに団体登録を行う
②ツールごとに利用申請をし、手数料を支払う
③使いたい製品・サービスでTechSoupや企業から送られてくるクーポンなどを適用させる

①TechSoupに団体登録を行う

最初にTechSoupへの団体登録を行います。登録の手順は、テックスープ・ジャパンのホームページに“テックスープ「団体登録」 虎の巻”という解説ページが用意されていますので、ご覧になりながら入力を進めていきましょう。

事前に国税庁法人番号(13桁)・定款・前年度決算書を準備した上で入力を行うとスムーズです。
https://techsoupjapan.hp.peraichi.com/registration

②利用申請をする

団体登録が承認されたら、使いたいツールの利用申請を行います。サービス紹介のところで上述したように、テックスープ・ジャパンのホームページ上に、寄贈製品・サービスごとに詳細説明ページがあります。その説明に従って申請を行ってください。複数のツールを利用したい場合は、1つずつ申請されると手続きは比較的スムーズです。

申請方法 https://techsoupjapan.hp.peraichi.com/validation
申請が完了するとメールが送られてきますので、手数料を払います。支払い方法は銀行振込になります。

③クーポンなどを適用させる

TechSoupの方で手数料の入金確認と当年度の非営利資格確認の両方が終わると、割引を適用させるためのクーポンなどがメールで送られてきます。クーポンというのは、多くの場合は英数字を組み合わせたパスワードのような文字列となります。

各ITツールのプラン選択の画面にクーポンを入力するところがありますので、そちらに入力して適用させましょう。一部の製品やサービスは、TechSoupの申請とは別に各企業への申し込み・契約が必要となりますので、ご注意ください。

TechSoupの利用方法などが分からないという場合は、テックスープ・ジャパン事務局にお問合せください。
https://www.techsoupjapan.org/contact

藤沢市市民活動推進センターなど地域の支援センターでサポートしてくれる場合もあります。

TechSoupを介さずに独自に非営利向けのプランを用意しているツール

ITツールの中にはTechSoupを介さずに独自に非営利活動向けにプランを用意しているものも多くあります。それらは、各ツールのホームページから独自に申請が必要です。以下は非営利向けプランのある主なツールです。詳細はそれぞれのホームページを参照してください。

・Microsoft (Office 製品/teams)
・Google (Workspace/Ad Grants(広告出稿))
・LINE WORKS (団体内コミュニケーション)
・Canva (チラシ・SNS 等のデザイン)
・PR TIMES (プレスリリース)
・サイボウズ (組織内コミュニケーション/kintone 等のアプリ制作)
・SmartNews (ニュースアプリへの広告の無料枠)

まとめ

本記事では、NPO法人など非営利法人が活用できるIT支援サービスの1つとして、TechSoupを紹介しました。日々のコミュニケーションや事務作業、情報発信等にITツールは必須のものです。ぜひこれらの支援を活用し、効率的で効果的な活動・運営を進めましょう。